おいしさ広げる和食:里芋が取り持つ多様性

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芋雑煮に肉は入るか?

芋雑煮のレシピを調べる。鶏もも肉が一緒に使われている。
これは意外。子供のころ母の実家で正月3日にいただいた芋雑煮には、肉は入っていなかったし、芋だけで作るという話を聞いたようにも記憶している。

和食とお肉

肉を食べない習慣、さかのぼると、天武天皇肉食禁止令(675年)
それが、明治まで続く。
和食が、今の形で発達するきっかけともされる。

米食がメインで、生魚を食べ、出汁を取って味に肉的な深みを
とりわけ、熱心だった僧侶たち大豆精進料理の影響もある。

イスラームも豚肉食禁止

ところで同じ7世紀、イスラームが成立し、ここでは、豚肉食を禁じた。
その後、現在に至っては、豚肉食のみならず、豚全般が禁じられるように。
聖典自体は、豚の肉のみを禁じており、豚全般の禁止は、聖典の解釈によるイスラーム法の産物。
それが文化規範となって、人々を縛っているのが今。

和食の現在

さて、明治まで続いたこの肉食禁止令。その後、日本人は雑食化。
出汁の文化は、世界が認める和食のエッセンス。
ナショナリズムで人々に多大な犠牲を強いた戦時中を経て、
大衆天皇制と言われる状態。禁止令は出ない。何でも「和」として取り入れる。

クルアーンが、ただ生の豚肉を食べるなと教えているというのなら、納得できる方も多いのではないかと思うし、それなら、無碍に排除する必要もない。
それが異文化理解、文化の多様性の受容というもの。

ハラールビジネスの中の豚

ところが、豚肉のみならず、豚にかかわるいっさいを排除してこそイスラームの実践であり、イスラーム教徒の証であるかの傾向が顕著。ハラール認証とそれにかかわるビジネスまで登場している。ビジネスを通じてイスラーム世界の富が増えればとりあえず許容されるという流れだ。

里芋のすぐれた栄養

1月3日朝。肉抜き、大根と人参とシメジで里芋の雑煮を作った。
見よう見まねで煮干しと花かつおで出汁を取って、醤油で味を付けた。
芋のたんぱく質含有量は、100グラム当たり1.5gでジャガイモ(1.6g)に匹敵。しかもカリウムも含む(100グラム当たり640㎎。一般的な芋類では突出して高い。サツマイモは、470㎎ ジャガイモは410㎎)ので高血圧予防も期待できる。思いのほか美味しかった。アルハムドゥリッラー。

カレーと里芋

松も明けた今日、懇意にしている相模原の本格インドバングラデシュ料理店シャヒ カナでは、里芋とチキンでカレーを提供するという。店主もシェフもムスリムの店の「和」の食材を生かす取り組み。カレーに使われるスパイス、つまり、ターメリック、しょうが、にんにく、トウガラシ、シナモン、ナツメグは、代謝を高め、血行を促し体を温める効果があるとされるもの。

ここのところの厳しい寒さで冷え切った体を鍋やおでんとはまた違った圧倒的なスパイスの力で温めてくれるカレーだということになる。エスニックとされる側からの和食へのこうしたアプローチが、胃袋のレベルで互いの多様性を認め生かしていく試みになるのだと実感する。

 

 

 

 

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